クリニックの待合室モニターで広告収入を得る方法|しくみ・収益の考え方・注意点

- 待合室モニターで広告収入が生まれる「レベニューシェア」のしくみ
- 自院の掲示のみ/無償設置型/既存モニター提携型の3つの方法の違い
- 放映料×分配率で考える収益の見積もり方と、運用で発生する作業
- 医院の評判を守るための審査・辞退の考え方と、契約前のチェックポイント
待合室にモニターを設置しているクリニックは珍しくなくなりました。診療案内や健康情報を流している医院も多い一方で、「せっかくの画面を、もう少し医院の経営に役立てられないか」と考える院長・事務長の方もいらっしゃるのではないでしょうか。その選択肢のひとつが、待合室モニターで企業の広告を放映し、その放映料の一部を受け取る「広告収入」の形です。
ただし、医療機関の中で広告を流すことには、患者さんからの見え方や医院の信頼性に関わる慎重な判断が欠かせません。この記事では、待合室モニターの収益化がどのようなしくみで成り立っているのか、どのような方法があり、それぞれ何が違うのか、そして医院の評判を守りながら取り組むには何を確認すべきかを、できるだけ中立的に整理します。
待合室モニターで広告収入が生まれるしくみ
待合室サイネージ広告は、クリニックや調剤薬局などの「待つ場所」に設置されたモニターで、企業の動画広告を放映するものです。広告を出したい企業(広告主)は、特定の地域や診療科に来院する人に情報を届けるために放映料を支払います。その放映料の一部が、画面と場所を提供した医療機関に分配される。これが一般的な「レベニューシェア(収益分配)」の考え方です。
多くの場合、医療機関と広告主が直接契約するのではなく、間に広告媒体社やマーケットプレイスが入ります。媒体社は広告主を集め、広告の内容を審査し、配信の管理や放映実績の確認、請求・支払いを担います。医療機関は「場所と画面を提供し、放映に協力する」立場になります。
お金と情報の流れ
- 1広告主が、配信したいエリア・診療科・期間などを指定して出稿を申し込む
- 2媒体社が広告の内容を審査する(法令・表現・技術仕様など)
- 3審査を通った広告について、医療機関に放映の可否を確認する(方式は媒体社による)
- 4医療機関の待合室モニターで広告が放映される
- 5放映実績が確認され、広告主へ請求される
- 6放映料のうち、取り決めた割合が医療機関に支払われる
ポイントは、医療機関が受け取る金額が「放映された広告の放映料」に連動していることです。広告が入らなければ収入は発生しませんし、放映料の水準は来院患者数や診療科、時期などによって変わります。固定の賃料のように毎月同じ額が入るものではない、という前提で考えておくことが大切です。
待合室モニターを活用する3つの方法を比較
待合室の画面の使い方は、大きく分けると次の3つに整理できます。どれが正解というものではなく、医院の方針や現在の設備によって向き不向きがあります。
| 項目 | 自院の掲示のみ | 広告媒体社の無償設置型 | 既存モニターで提携する型 |
|---|---|---|---|
| 概要 | 自院で用意したモニターに、診療案内や健康情報など自院のコンテンツだけを流す | 媒体社がモニターや端末を設置し、媒体社の広告やコンテンツを流す | 医院がすでに持っているモニター・サイネージで、審査済みの広告を放映する |
| 初期費用 | モニター・端末の購入費がかかる | 設置費用は媒体社負担とされることが多い | 既存設備を使うため、新たな機器購入は基本的に不要 |
| 運用の手間 | コンテンツの作成・更新は自院で行う | 配信は媒体社が管理する。設置場所の確保などが必要 | 放映実績の報告など、一定の作業が発生する場合がある |
| 広告の選択権 | 広告を流さないため該当しない | 契約内容による。個別の広告を選べないこともある | 案件ごとに許可・辞退できる仕組みもある |
| 収益 | 広告収入はない | 契約による(収益分配がない場合もある) | 放映された広告の放映料に応じて分配される |
| 画面の自由度 | すべて自院で決められる | 媒体社の編成が中心になりやすい | 自院の案内と広告を組み合わせやすい |
自院の掲示のみ
もっともシンプルで、画面の内容をすべて自院でコントロールできる方法です。広告収入はありませんが、休診日の案内や予防接種の時期のお知らせ、院内のルールなど、医院として伝えたいことに画面を集中できます。一方で、コンテンツを作り続ける手間がかかり、同じ映像が何か月も流れ続けてしまうケースも少なくありません。
広告媒体社の無償設置型
媒体社が機器を持ち込んで設置し、その画面で広告やコンテンツを配信する方法です。医院側の初期負担が小さいことが利点ですが、画面の編成は媒体社が中心になるため、流れる広告を医院が一つひとつ選べるとは限りません。設置場所や配線、契約期間、撤去時の取り決めなども含めて確認が必要です。
既存モニターで提携する型
すでに待合室にあるモニターやサイネージを活用し、媒体社が審査した広告を放映する方法です。新たな機器を置かずに始められることと、放映する広告を医院が判断できる仕組みであれば、医院の方針に合わない広告を避けやすいことが特徴です。その代わり、放映した事実を広告主に示すための報告作業などが発生する場合があります。
広告収入はどう見積もるか|放映料×分配率で考える
「月にいくらくらいになるのか」は、多くの院長・事務長が最初に気にされる点です。ただ、レベニューシェア型の広告収入は、広告が入るかどうかと放映料の水準に左右されるため、事前に確定した金額を示すことはできません。ここでは、金額そのものではなく、見積もりの考え方を整理します。
基本の式
医療機関が受け取る金額は、基本的に次の式で考えられます。
医療機関の受取額 = 放映された広告の放映料の合計 × 分配率
分配率は媒体社や契約の形によって異なります。同じ媒体社でも、既存モニターを使うのか、媒体社の端末を導入するのかで分配率が変わることがあります。比較するときは、分配率の数字だけでなく、端末費用の負担や月額費用の有無も合わせて見る必要があります。
放映料を左右する要素
放映料は、広告主から見た「その施設で放映する価値」に応じて決まります。媒体によって算定方法は異なりますが、一般的には次のような要素が影響します。
- 来院患者数:画面を目にする人が多いほど、広告の価値は高くなりやすい
- 診療科:来院者の属性(年齢層・性別・家族構成など)が広告主のターゲットに合うかどうか
- 曜日や時期:混雑する曜日、季節性のある疾患の流行期など
- 需要:同じ時期にその施設で広告を出したい広告主がどれだけいるか
- 放映を許可した広告の数:医院が辞退した案件は、当然ながら収入にはならない
つまり、来院患者数が多い、広告主の関心が高い属性の患者さんが来院する、といった条件がそろうほど放映料は高くなる傾向があります。反対に、広告主の需要が少ない時期や、医院の方針で辞退する案件が多い場合は、収入は小さくなります。
見積もりの際に注意したいこと
- 「毎月○円」といった固定額の保証があるかどうか、ある場合はその条件を確認する
- 分配の対象が「放映料」なのか「広告主の支払総額」なのか、計算の基準を確認する
- 端末費用・月額費用・振込手数料など、差し引かれるものがあるかを確認する
- 支払いのタイミング(締め日と振込日)を確認する
広告収入は、あくまで「待合室の画面を活用した副次的な収入」と位置づけ、本業である診療の運営に影響しない範囲で考えるのが現実的です。
医院の評判を守るために確認したいこと
待合室で流れる広告は、患者さんにとって「この医院が流しているもの」と受け取られます。広告の内容が医院の方針と合わなかったり、不安をあおるような表現が含まれていたりすれば、医院そのものへの信頼に関わります。収益よりも先に、次の点を確認しておくことをおすすめします。
広告の審査があるか、基準は公開されているか
医療機関で流す広告には、一般の広告以上の配慮が求められます。医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器などの広告は薬機法の規制を受け、健康食品で病気の治療や予防の効果をうたえば医薬品とみなされるおそれがあります。また、景品表示法では、品質や価格を実際より良く見せる表示が禁止されています。
こうした法令面に加え、「不安をあおらない」「点滅など体調に影響しうる映像を使わない」「音がなくても内容が伝わる」といった、医療機関の待合室ならではの観点で審査されているかどうかも重要です。審査の基準が公開されている媒体であれば、どのような広告が流れうるのかを事前に把握できます。
医院が広告を選べるか(辞退できるか)
審査を通った広告であっても、すべてが医院の方針に合うとは限りません。たとえば、自院で提供している自費診療と競合する商品の広告や、医院として推奨していない分野の広告は避けたいと考えるのは自然なことです。案件ごとに放映を許可・辞退できる仕組みがあるか、辞退した場合に不利益(ペナルティや契約上の制限)がないかを確認しましょう。
他の医療機関の広告の扱い
他の医療機関の広告を流す場合、その広告は医療法に基づく広告規制(医療広告ガイドライン)の対象になります。また、近隣の医療機関の広告が自院の待合室で流れることを望まない医院も多いでしょう。こうした広告の扱いがどうなっているかも、事前に確認しておきたいポイントです。
個別の広告表現が法令上問題ないかどうかの判断は、商品の区分や承認・届出の内容によって変わります。判断に迷う場合は、専門家や関係行政機関にご確認ください。
運用で発生する作業と、その負担を減らす方法
広告主は放映料を支払う以上、「本当に放映されたのか」「どれくらいの人が目にしうる状況だったのか」を確認したいと考えます。そのため、既存のモニターで広告を放映する場合、医療機関側に次のような作業をお願いする媒体社が一般的です。
- 来院患者数の入力・報告:広告が届いた可能性のある人数の目安として使われる
- 放映の証跡の提出:実際に待合室で広告が流れている様子を撮影した動画など
- 放映スケジュールの反映:決められた期間・順番で広告が流れるよう再生リストを更新する
- 機器トラブル時の連絡:モニターが映らない、再生が止まっているなどの際の報告
どの作業も一つひとつは大きなものではありませんが、受付や事務のスタッフが日々の業務の合間に行うことになります。誰が担当するのか、どの頻度で行うのかを、始める前に院内で決めておくと運用が安定します。
API連携型のサイネージなら作業を自動化できる
こうした作業の多くは、サイネージの端末と媒体社の配信システムが連携していれば自動化できます。インターネット経由で広告が自動的に配信され、端末側の再生ログで放映実績が記録される仕組みであれば、再生リストの手動更新や証跡動画の撮影は不要になります。手間を減らしたい場合は、こうした連携の仕組みがあるかどうかも比較のポイントになります。
ただし、連携型の端末を新たに導入する場合は端末費用がかかり、分配率も既存モニター型とは異なる設定になっていることがあります。「手間」と「費用・分配率」のどちらを重視するかで、選ぶべき形が変わります。
契約前・解約時に確認したいチェックポイント
広告収入の仕組みは媒体社ごとに条件が大きく異なります。申し込む前に、次の項目を書面で確認しておくと安心です。
| 確認項目 | 確認したい内容 |
|---|---|
| 分配率と計算基準 | 何に対して何%が支払われるのか。端末や運用の形によって分配率が変わるか |
| 支払い条件 | 締め日・振込日、最低支払額の有無、振込手数料の負担 |
| 費用負担 | 端末費用・設置費用・月額費用・通信費などの有無と負担者 |
| 広告の選択権 | 案件ごとに許可・辞退できるか。辞退に不利益はないか |
| 審査基準 | どのような観点で審査されるか。基準は公開されているか |
| 医院側の作業 | 患者数の報告、証跡の提出など、求められる作業とその頻度 |
| 契約期間・解約 | 最低契約期間の有無、解約の申し出期限、違約金の有無 |
| 機器の扱い | 媒体社の機器を設置する場合、所有権・故障時の対応・撤去の方法と費用 |
| 個人情報 | 患者さんの個人情報を扱う場面があるか(通常、人数の報告のみであれば個人情報は不要) |
特に、媒体社の機器を設置する形では、契約期間中の解約や撤去に関する取り決めが重要です。既存モニターを使う形であれば機器の撤去は発生しませんが、放映をやめる際の手続きや、未払い分の精算方法は確認しておきましょう。
MACHIAIの提携クリニックプログラム
ここからは、MACHIAI(マチアイ)を運営する株式会社バディアスが行っている、提携クリニックの募集についてご紹介します。MACHIAIは、医療機関などの待合室サイネージ広告のマーケットプレイスです。広告主はエリアや診療科、患者さんの年齢層などで配信先を絞り込んで出稿し、医療機関は自院のモニターで審査済みの広告を放映して、放映料の分配を受け取ります。
既存のモニター・サイネージで参加できる
- すでに待合室にあるモニターやサイネージで、審査済みの広告を放映します
- 放映料の50%を医療機関へお支払いします(翌月末振込)
- 放映する広告は、案件ごとに医療機関が許可・辞退を選べます
- 運用の作業として、来院患者数の入力と、放映中の様子を撮影した証跡動画1本の提出をお願いしています
広告の審査と放映までの流れ
MACHIAIでは、広告主から入稿された広告を全件審査しています。技術仕様(1920×1080、尺15・30・60秒、無音でも伝わる字幕)、法令(薬機法・景品表示法など)、医療機関での放映環境(不安をあおらない、点滅しないなど)の観点で確認し、審査の基準は広告掲載基準のページで公開しています。審査を通った広告は各施設に放映依頼として届き、施設は放映開始の3日前までに許可・辞退を回答します。許可いただいた施設で料金が確定し、放映が始まります。
自社サイネージ「DOCTUS Cast」導入施設の場合
運営会社が提供するクリニック向け待合室サイネージ「DOCTUS Cast」を導入している施設は、API連携により広告が自動で配信され、放映実績も自動で検証されます。患者数の入力や証跡動画の提出といった手間がかからない代わりに、分配率は30%となり、端末費用は別途必要です。
お申し込みについて
提携のお申し込みは、提携クリニック募集ページから受け付けています。いただいた内容をもとに審査を行い、2〜3営業日で結果をご連絡します。条件の詳細や、自院の環境で参加できるかどうかのご相談もお気軽にお寄せください。
よくある質問
Q広告は音声付きで流れるのですか?
AMACHIAIでは、音を出さなくても字幕だけで内容が伝わることを広告の技術仕様として審査しています。待合室で音声を出すかどうかは各医療機関の運用によりますが、無音での放映を前提にした広告を受け付けているため、音を出さない運用でも内容は伝わるよう設計されています。
Q途中でやめたくなった場合、機器の撤去は必要ですか?
A既存のモニター・サイネージで参加する形であれば、新たな機器を設置しないため撤去は発生しません。放映をやめる際の手続きや精算方法は、お申し込み時にご案内する条件をご確認ください。DOCTUS Castなど端末を導入する場合は、端末の契約条件もあわせてご確認ください。
Q患者さんから否定的に受け取られることはありませんか?
A受け止め方は医院の雰囲気や流れる内容によって異なり、一概には言えません。だからこそ、医療機関での放映環境に配慮した審査と、医院自身が案件ごとに許可・辞退できる仕組みが大切だと考えています。まずは医院の方針に合う広告だけを許可し、自院の案内と組み合わせて流すなど、無理のない形から始めることをおすすめします。
Qどのような広告が流れるのか、事前に確認できますか?
A審査を通った広告は、各施設への放映依頼として届きます。内容を確認したうえで、放映開始の3日前までに許可・辞退を回答いただく流れです。審査の観点は広告掲載基準のページで公開しています。
Q収入はどれくらいになりますか?
A受取額は「放映された広告の放映料×分配率」で決まり、放映料は来院患者数や診療科、曜日、時期の需要などによって変わります。広告が入るかどうかや、許可いただく案件の数によっても変わるため、固定の金額をお約束するものではありません。
Q患者さんの個人情報を提出する必要はありますか?
A提携クリニックにお願いしているのは、来院患者数(人数)の入力と、放映中の様子を撮影した証跡動画1本の提出です。個々の患者さんの情報をお預かりする仕組みではありません。証跡動画の撮影時は、患者さんが映り込まないようご配慮ください。
執筆:MACHIAI(マチアイ) 編集部(運営:株式会社バディアス)。 クリニックの待合室サイネージ「DOCTUS Cast」の提供と、待合室メディアの広告マーケットプレイスの運営を通じて得た知見をもとに解説しています。 掲載内容は公開時点の情報です。法令の解釈・適用は個別の状況によって異なります。


