病院・クリニックに広告を出す方法|3つの出稿ルートと選び方

- 病院・クリニックに広告を出す3つのルート(公募・代理店/ネットワーク媒体・マーケットプレイス)の違い
- 費用の見えやすさ・最小単位・期間・審査・手間で比べた選び方
- 目的の整理から効果確認までの出稿手順
- 医療機関に広告を出すときに陥りやすい失敗と対策
病院やクリニックは、地域の幅広い世代が定期的に訪れる場所です。待合室で過ごす時間もあるため、ヘルスケア商材、子育て・シニア向けサービス、地域の店舗や住宅関連など、さまざまな業種が広告媒体として関心を寄せています。ただ、実際に「病院に広告を出したい」と思っても、どこに問い合わせればよいのか、どんな手続きが必要なのかがわかりにくいのが実情です。
医療機関への広告出稿には、大きく分けて3つのルートがあります。公立病院などが行う広告事業者の公募に応募する方法、代理店やネットワーク型の待合室媒体を通じて出稿する方法、そして複数の媒体を比べて申し込めるマーケットプレイスを使う方法です。この記事では、それぞれの特徴と向いているケース、出稿までの手順、注意点を順に解説します。
病院・クリニックで出せる広告の種類
ひとくちに「病院の広告」といっても、掲出場所や形式はさまざまです。代表的なものを整理しておきます。
- 待合室や受付のモニターで流す動画広告(院内デジタルサイネージ広告)
- 院内に掲示するポスターや、ラックに置くパンフレット・チラシ
- 診察券、封筒、院内マップ、ウェブサイトのバナーなどへの広告掲載
- 病院の駐車場や敷地内の看板、エレベーター内の掲示
このうち近年増えているのが、待合室のモニターを使った動画広告です。紙の広告と比べて差し替えがしやすく、複数の施設に同時に配信できるため、エリアや期間を区切った出稿に向いています。以下では主に待合室の動画広告を念頭に置きつつ、紙媒体を含めた出稿ルートを説明します。
ルート1:公立病院などの広告事業者の公募に応募する
自治体が運営する公立病院や公的な医療機関の中には、病院の広告枠を活用して収入を得る「広告事業」を行っているところがあります。こうした病院では、広告枠を運用する事業者や広告主を公募し、募集要項にもとづいて選定するのが一般的です。
公募の一般的な流れ
病院や自治体のウェブサイトに募集要項が掲載され、応募資格、広告枠の内容、掲載期間、提出書類、選定方法などが示されます。応募者は期限までに申込書類や広告案を提出し、審査を経て採否が決まります。広告枠の運用を一括して担う事業者を入札やプロポーザル方式で選ぶ場合もあれば、個別の広告主から直接申込を受け付ける場合もあります。
公募の特徴と注意点
公募は手続きが公開されており、条件が明確なのが利点です。一方で、募集の時期が限られていたり、掲載期間が年度単位など比較的長く設定されていたりすることがあります。また、公的機関の広告であるため、掲載できる業種や表現に独自の基準が設けられていることが多く、審査に時間がかかる場合もあります。
対象となるのは基本的にその病院だけなので、複数の地域や施設に広く配信したい場合には、病院ごとに個別に応募する必要があります。特定の大きな病院に長期間掲出したい、地域での信頼感を重視したいといった目的には合いますが、短期間のテストやエリアをまたいだ配信には向きにくいルートです。
ルート2:代理店・ネットワーク型の待合室媒体を利用する
2つめのルートは、複数のクリニックや調剤薬局にモニターを設置し、配信網として広告枠を販売している媒体社や、そうした媒体を扱う広告代理店を通じて出稿する方法です。現在、待合室サイネージ広告の多くはこの形で取引されています。
ネットワーク型媒体の特徴
媒体社がまとめて施設と契約し、配信システムで広告を一括管理しているため、多数の施設に同じ広告を同時に流せます。調剤薬局チェーン、特定の診療科に特化した配信網、地域に密着した配信網など、媒体ごとに得意な施設やエリアがあります。料金は施設群と期間をセットにしたプラン型や、期間固定の月額型が多く、媒体資料を取り寄せて見積もりを依頼する流れが一般的です。
代理店を経由する場合
広告代理店に依頼すると、媒体選びから動画制作、審査対応、レポートの取りまとめまでをまとめて任せられます。社内に広告運用の担当者が少ない場合には心強い選択肢です。ただし、代理店が扱っている媒体の中から提案されることが多く、手数料が上乗せされる点は理解しておく必要があります。
このルートは、ある程度まとまった規模で認知を取りたい場合や、全国・広域に配信したい場合に向いています。一方、最小の申込単位が大きく、少数の施設で短期間だけ試したいというニーズには合わないこともあります。媒体ごとに問い合わせが必要なため、複数の媒体を比べるには手間がかかります。
ルート3:マーケットプレイスで媒体を選んで出稿する
3つめのルートは、複数の待合室媒体を掲載し、広告主が条件を指定して比べながら申し込めるマーケットプレイスを利用する方法です。Web上で配信先や期間を選び、料金の目安を確認したうえで出稿を申し込めるのが特徴です。
媒体ごとに個別に問い合わせる必要がなく、料金や配信先の条件を同じ画面で比べられるため、比較検討の手間を減らせます。また、施設単位・週単位など小さな単位で申し込める仕組みであれば、テスト配信から始めやすくなります。一方で、掲載されている媒体や施設の数はサービスによって異なり、希望するエリアに配信先がまだ少ない場合もあります。自社のターゲットとなる施設が掲載されているかを、最初に確認しておくことが大切です。
| 比較項目 | 公立病院などの公募 | 代理店・ネットワーク型媒体 | マーケットプレイス |
|---|---|---|---|
| 費用の見えやすさ | 募集要項で条件が示される | 媒体資料・見積もりで確認することが多い | 画面上で目安を確認しやすい |
| 最小単位 | 病院ごと・枠ごと | 施設群×期間のプランが中心 | 施設単位・週単位などから選べる場合がある |
| 期間 | 年度単位など長めのことが多い | 週・月単位が中心 | 短期から選べる場合がある |
| 審査 | 病院・自治体の基準で審査 | 媒体社の基準で審査 | サービス・媒体の基準で審査 |
| 手間 | 書類準備・募集時期の確認が必要 | 代理店に任せれば少ない/媒体ごとの比較は手間 | 比較・申込が一か所で完結しやすい |
| 向いている目的 | 特定病院での長期掲出 | 広域・大規模な認知獲得 | エリアや施設を絞ったテスト、比較検討 |
どのルートが正解ということはなく、目的と規模によって使い分けるのが現実的です。たとえば、まずマーケットプレイスで小さく試して反応を確かめ、効果が見込めるとわかった段階でネットワーク型媒体に広げる、地域の基幹病院には公募で長期掲出する、といった組み合わせも考えられます。
ルートを選ぶための3つの質問
迷ったときは、次の3つの質問に答えてみると方向性が見えてきます。1つめは「配信したい施設は特定の病院か、条件に合う施設なら複数でもよいか」です。特定の病院であれば公募、条件で選ぶなら媒体社かマーケットプレイスが候補になります。2つめは「最初からまとまった規模で出したいか、まず小さく試したいか」です。規模を優先するならネットワーク型媒体、検証を優先するなら最小単位の小さい媒体が向いています。3つめは「媒体選びや制作を自社で進められるか」です。社内に担当者がいない場合は代理店に任せる、自社で比較・判断できる場合はマーケットプレイスを使う、という分け方ができます。
また、どのルートでも「放映(掲出)されたことをどう確認できるか」は必ず確かめておきましょう。紙のポスターなら掲出写真、デジタルサイネージなら再生ログや実績レポートなど、確認方法は媒体によって異なります。実績の確認方法が明確な媒体ほど、効果検証や社内への報告がしやすくなります。
出稿までの手順
どのルートを選ぶ場合でも、出稿までの基本的な流れは共通しています。準備の段階で決めておくべきことが多いため、順を追って確認しましょう。
- 1目的を決める:認知を広げたいのか、指名検索や来店・問い合わせを増やしたいのかを明確にします
- 2ターゲットと配信先を決める:届けたい人の属性から、施設の種類・診療科・エリアを絞り込みます
- 3ルートと媒体を選ぶ:規模・期間・予算に合わせて、公募・ネットワーク型媒体・マーケットプレイスを比べます
- 4素材を用意する:媒体の仕様(解像度・尺・音の有無)に合わせて動画やポスターを用意します
- 5審査を受ける:表現や仕様の確認を受け、指摘があれば修正します
- 6放映・掲出:施設側の受け入れが決まったら放映が始まります
- 7効果を確認する:放映実績のレポートと、指名検索・クーポン利用などの変化を確認します
特に時間がかかりやすいのが、素材の準備と審査です。医療機関で流す広告は、一般的な広告より表現の確認が厳しく行われることが多いため、開始希望日から逆算して余裕をもったスケジュールを組みましょう。
医療機関に広告を出すときの注意点と失敗例
表現のルールを後回しにする
医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器などの広告は、医薬品医療機器等法(薬機法)により、虚偽・誇大な広告が禁止されています。健康食品でも、病気の治療や予防の効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあります。また、景品表示法では、品質や価格を実際より良く見せる表示(優良誤認・有利誤認)が禁止されており、2023年10月からは広告であることを隠すステルスマーケティングも規制の対象になりました。制作が終わってから審査で大きな修正を求められると、時間も費用もかかります。企画の段階から表現のルールを確認しておくことが重要です。
他の医療機関の広告を出す場合
医療機関や医療サービスそのものの広告には、医療法にもとづく広告規制(医療広告ガイドライン)が適用されます。たとえば、別のクリニックや健診サービスを待合室で宣伝する場合は、この規制の対象になります。一般の商品やサービスの広告には直接適用されませんが、医療機関の中で流す以上、患者さんへの配慮は欠かせません。
待合室の環境を考えない素材
テレビCMやSNS広告の動画をそのまま流すと、音が出ないため内容が伝わらない、文字が小さく読めない、といった問題が起こりがちです。不安をあおる表現や、点滅の多い映像も医療機関では避けるべきです。待合室は体調のすぐれない人もいる場所であることを前提に、落ち着いて読める構成にしましょう。
ターゲットと施設が合っていない
施設数の多さだけで媒体を選ぶと、届けたい層がほとんど来ない施設にまで費用をかけてしまうことがあります。小児科には子ども連れの保護者、皮膚科や婦人科には女性、整形外科や調剤薬局にはシニア層が多いといった傾向を踏まえて、施設の種類から選ぶことが大切です。
効果の確認方法を決めていない
待合室広告はクリックで反応を測れないため、何をもって効果とするかを事前に決めておかないと、終わった後に判断ができません。専用クーポンや特設ページ、放映エリアでの指名検索の変化など、確認方法をあらかじめ用意しておきましょう。
この記事は一般的な考え方をまとめたものです。個別の広告表現の可否や、医療広告ガイドラインの適用範囲については、商品・サービスの内容によって判断が変わります。専門家や関係行政機関にご確認ください。
MACHIAIでクリニックに広告を出す方法
MACHIAI(マチアイ)は、医療機関などの待合室サイネージ広告を比べて申し込めるマーケットプレイスです。前述の3つめのルートにあたり、運営は京都市の株式会社バディアスです。
現在の配信網は京都府内のクリニック2施設(自社サイネージ)で、提携クリニックや他社の待合室媒体を順次拡大しています。配信先は、エリア・診療科・患者の年齢層・女性比率などの条件で絞り込めます。出稿は最短1週間(7日)・1施設から可能なため、まずは特定の条件で小さく試したい場合に使いやすい仕組みです。
MACHIAIでの出稿の流れ
- 1媒体一覧で条件を指定し、配信先と期間を選ぶ(予告料金として想定額と想定レンジが表示されます)
- 2動画を入稿する(動画がない場合は制作も依頼できます。ライト88,000円〜・税込)
- 3全件審査を受ける(入稿から約3営業日。修正が必要な場合はタイムコードと理由をお伝えします)
- 4各施設に放映を依頼し、施設が許可・辞退を回答する(放映開始の3日前が締切)
- 5放映を許可した施設とそのキャパシティで料金が確定し、放映が始まる
- 6放映を確認できた分のみを請求(再生ログ、患者数報告と放映証跡動画、媒体社の実績レポートで確認)
上限予算を設定でき、確定料金がその額を超えることはありません。表示価格はすべて税込です。審査の観点(技術仕様・法令・医療機関での放映環境)は広告掲載基準のページで公開しているため、制作前に確認しておくと修正の手間を減らせます。
また、医療機関の方は、既存のモニターやサイネージで審査済みの広告を放映する提携クリニックとして参加できます。放映する広告は案件ごとに許可・辞退を選べます。詳しくは提携クリニック募集のページをご覧ください。
Q病院に広告を出すにはどこに問い合わせればよいですか?
A特定の公立病院に掲出したい場合は、その病院や運営する自治体のウェブサイトで広告事業の募集要項を確認します。複数のクリニックや薬局に配信したい場合は、待合室サイネージの媒体社や広告代理店、またはマーケットプレイスに問い合わせるのが一般的です。
Q個人経営のクリニックに直接広告を頼むことはできますか?
A直接交渉することも不可能ではありませんが、放映の仕組みや実績の確認、契約や請求の手続きを個別に整える必要があり、双方にとって負担が大きくなりがちです。媒体社やマーケットプレイスを通すと、審査や実績確認の仕組みが整っているため進めやすくなります。
Qどんな業種でも病院に広告を出せますか?
A多くの媒体で、医療機関にふさわしくない業種や表現は掲載できません。ギャンブルや成人向けの商材、不安をあおる表現などは断られることが一般的です。掲載基準は媒体ごとに異なるため、事前に確認しましょう。
Q出稿までにどれくらいの期間がかかりますか?
A素材の有無と審査期間によって変わります。動画がすでにあり、仕様と表現の確認がスムーズに進めば比較的早く始められますが、新規制作や修正が必要な場合はその分の期間を見込む必要があります。公募の場合は募集時期に左右されます。
Q病院の広告には医療広告ガイドラインが適用されますか?
A医療広告ガイドラインは、医療機関や医療サービスの広告に適用されます。一般の商品やサービスの広告には直接適用されませんが、医療機関内で流すため、患者さんへの配慮は必要です。他の医療機関の広告を出す場合は対象になります。
Q少額で試すことはできますか?
A媒体によって最小単位は異なります。施設群と期間がセットのプラン型では一定の規模が必要なことがあります。MACHIAIでは最短1週間(7日)・1施設から出稿でき、上限予算も設定できます。
執筆:MACHIAI(マチアイ) 編集部(運営:株式会社バディアス)。 クリニックの待合室サイネージ「DOCTUS Cast」の提供と、待合室メディアの広告マーケットプレイスの運営を通じて得た知見をもとに解説しています。 掲載内容は公開時点の情報です。法令の解釈・適用は個別の状況によって異なります。


